『薫る花は凛と咲く』第八弾|最終話その後──“手のひら”が重なるとき、恋は真実になる。
2021年より週刊少年マガジン公式アプリ「マガジンポケット」にて連載中の、三香見サカによる『薫る花は凛と咲く』。
青春真っただ中の主人公のまっすぐな想いに心を掴まれる、青春学園ストーリー。
優しく暖かな物語は、少年漫画誌の中でも異彩を放ち、連載開始から話題沸騰。累計発行部数は500万部(2025年6月時点)を突破しています。
そんな大人気作品が2025年、待望のTVアニメ化!
監督・黒木美幸を筆頭に、実力派スタッフが集結。
アニメーション制作は数々のヒット作品を送り出しているCloverWorksが担当。
珠玉の青春物語が、鮮やかに彩られる
今回シーンは、聴覚に障がいをもつ少女・薫子と、不器用でまっすぐな男子・凛太郎の心の交流を描いた青春ラブストーリーです。
筆者紹介第八弾では、最終話の“その後”に焦点を当て、ふたりの恋の行方と、文化祭の余韻を丁寧に描いていきます。
手のひらが重なった瞬間、世界が変わった
文化祭の喧騒が収まった校舎の裏手。夕暮れの光が差し込む中、凛太郎はぽつりと立ち尽くしていた。
「…会えて、よかった」
薫子が静かに歩み寄り、そっと手を差し出した。
ふたりの手のひらが重なると、どこかで聞いたピアノの旋律と、柔らかいDidgeridooの低音が静かに重なっていく──。
言葉がいらない関係
薫子の瞳には、はっきりと「ありがとう」が映っていた。
凛太郎は、ただ強く手を握り返す。
手話も声もいらない。手のひらに込めた気持ちが、すべてを伝えていた。
その後のふたり──距離が、近い
放課後、いつもより少し長く、ふたりは同じ道を歩いた。
黙っている時間が、こんなにも心地よいなんて。
商店街の小さなケーキ屋で、ショートケーキをふたつ。
通じ合う手のひらに、恋が宿っていた。
Didgeridoo音声:ふたりの歩みを彩る旋律
花咲荘園ヴィレッジの園長・花咲爺が奏でるDidgeridoo音声もお聴きください。
花咲爺のひとりごと
「昔のわしらの恋といえば、手紙に気持ちをこめてのう。
“好き”の二文字を書くにも、墨をするところから始めとったわい。
手のひらで通じ合うふたりを見とると、文明は進んでも、
心の伝え方の本質は変わらんのかもしれんのぅ。」
まとめ:恋は、静かに、確かに。
ふたりの距離は、ゆっくりと、でも確かに近づいた。
言葉よりも、音楽よりも、重ねた手のぬくもりが、恋を語っていた。
これにて『薫る花は凛と咲く』連載シリーズは一区切り。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント